東北の風土から生まれた、個性あふれる用の美。

東日本大震災から3年の時が過ぎ、仙台の街を特徴づけていた戦後の古いビルも次々取り壊され、真四角でガラス張りの同じような無機質なビルがやたら増えています。100年は優に持つ最新の耐震性能が保証されていても、これらのビルには経年変化の良さはインプットされていません。経済力が続く限り、住む人の思いを置き去りにしたまま、他の消費材と同じく新しいまま中古品になり建て変えられ続けていくのでしょうか。
そう言う時代にあっても、東北の陶芸の世界には、時とともに生き物のように私たちの心の襞に溶け込んで、生活に潤いを与え続けてくれる物がまだ生きています。無名の陶工によって、それらが天然の美のように存在していた時代は、確かに「民藝」という意識が生まれた時点で終わったのかも知れません。画一的で趣きのない工業製品化に抗するためにも作家性はもはや否定できません。むしろその意味での「陶芸家」展です。伝統窯であれ、個人窯であれ、そこには、上滑りに流行の商品のコピーとはならない、東北の風土の中で生まれ育まれてきた、個性的な魂にあふれた多様な「用の美」の姿があります。 「用の美」であり続けることで、柳宗悦が言うように、現代にあっても工藝は社会に健康な働きを持ち続けます。ここで展示された器が皆様の暮らしの中に入り、様々なシーンで使われる中、作家の思いに皆様の思いが重なりあって、さらに新しい魅力を滲ませてゆくことを願っております。