とうほく陶芸家展 in せんだい 第6回 2019 5/24~26  Tohoku Potters Exhibition in Sendai

新緑が輝く八幡の森に、江戸時代からの伝統と技術を受け継ぐ、あるいは自ら窯を開き作陶を続けてきた東北の陶工たちが集います。     Tohoku potters gather in the sparkling fresh verdure of Hachiman no Mori.

本年度参加窯
・青森
【南部名久井焼】 見學院窯/砂庭大門 (南部町)今年廃業。作品のみ展示。
・岩手
【小久慈焼】 下嶽智美(久慈市) 
・山形
【新庄東山焼】 弥瓶窯/涌井正和(新庄市)  
【平清水焼】 青龍窯/丹羽良知(山形市) 逝去。遺作展示。
・宮城
遊翠窯/遊佐将彦(栗原市) 
花法窯/小松善郎(栗原市) 
座主窯/工藤修二(栗原市) 
高前田乾隆窯/斎藤乾一(気仙沼市) 
三輪田窯/亀山英児(石巻市)
【堤焼】 乾馬窯/針生乾馬・和馬・峻(仙台市) 
八木山工房/折原慎一(仙台市) 
広瀬窯/加藤晋(仙台市) 
雷窯/ジェームス・オペ(柴田町) 
雅堂窯/黒本雅志(村田町) 
元窯/鈴木智・ハツミ(蔵王町) 
鶯林窯/丹羽龍知(川崎町) 
・福島
榧の木窯/吉田富夫(三春町) 
琴星窯/庄司人志(二本松町)

昨年度のパンフレットの序文です。今年も思いは一つ、東北の陶芸の興隆を願っています。

手の人が作る小さな器が巻き起こす生活の微風

昔ながらの器がなかなか売れないのは、和の生活が消えてしまったことにあると誰もがいう。確かにめったに膝を折って食事をすることはなくなった。しかし、だからといってそこで長い間積み上げてきた器のかたちや厚みや重さや色彩の感覚を捨てていいということにはならないと思う。伝統の窯を交えて、この展示会を続けて行く意味のひとつは、そこにある。これまでの器に受け継がれてきた蓄積を大事にしつつ、流行に流される器でなくて、現代の生活に根ざした「使える器」を作り続けて行く、その道筋と環境がこの展示会でのお客様との対面、そして作家同士の交流の中から生まれて来てほしいと願っている。
ここに集まっている作家は、いずれも器を作って売ることを生業として、またそうありたい(正直厳しい世の中だから必ずしもそういかない現実がある)と思っている作家たちである。そうした生活の座が成り立たなくなるとき、東北の風土の特徴を帯びた手づくりの「使える器」も消えてしまう。モダニズムの究極的な姿を呈して、都市的環境はますます均一化の方向を加速している現実。器の世界もすべて頭の人のデザインに基づいて設計された工業製品、ユニフォームになってしまうだろう。そのことの寂しさ。
手づくりの小さな器に込められた特徴ある風土の匂いと作り手の思いが、使うものの心にも微風のようなものを巻き起こし、ささやかながら、命にあふれたほんとうに豊かな生活をしていくための入り口になればと心から願っている。

あとがき
「とうほく陶芸展」も今年で5回目。震災復興の意味合いから、急速に変化する時代にどう東北の器とつくる人を守っていくかという難しい課題への糸口を見出すための集いになっています。

19絵柄面_ol19宛名面_ol

↑このページのトップヘ